矛盾と向き合う

暑中お見舞い申し上げます。
(今年の夏は、お葉書をいただいた方と新規のお客様にのみ、お葉書を送らせていただきました。)

今年も8月6日が来ました。
3日後の8月9日とともに、原子爆弾投下という、人類史上最悪の記憶が刻まれた日であり、また私個人にとっては、甥が生まれためでたい日でもあります。

前者の日から67年が経ち、私はその半分以上の年月を生きていることになるのですが、そんなに近い過去に、この心底信じがたい悲劇が現実に起きたのだということが、いまだに実感として理解できません。

普通に暮らしていた多くの人々の人生が、一瞬の閃光とともに消え去り、生き残った人々は地獄に突き落とされた。

この悲劇が、自然災害ではなく人類自らの手で引き起こされたものであるということ自体が、人類の存在への絶望に値すると思っています。

人間として生まれた自分はそもそも絶望的な存在なのだ。
ある頃から、そう強く認識するようになりました。

「平和は尊い」 「人の命は尊い」 「子供の未来を守らなければならない」 「自然を破壊してはならない」 ・・・
当たり前です。それらを望まない人は多くはいないでしょう。
それは今も昔もきっと変わらない。

にもかかわらず、繰り返し人類は自らの手によって悲劇を引き起こしてきた。

矛盾は自分の中にもある。
人と交われば争いが生じる。人に従えば流される。

これから本当に同じ過ちを繰り返さないようにするために1人1人がしなければならないことは、少なくとも、当たり前のことをただ唱えることではなく、矛盾から目を背けずに、それらと真剣に向き合う努力を続けることではないかと思っています。