気になるスケール

阪急うめだ本店の建物がリニューアルされたそうです。
外観を写真で見ただけですが、その限りではスケールアウトなファサードのデザインの様に思われました。

スケールアウトな建物を写真で見た後に実物を見ると、思ったより大きい、または逆に小さい、という感じがします。
意図的にそういう効果を狙ってデザインされる場合もあると思いますが、阪急うめだ本店の場合はどうなのでしょうか。

スケールアウトといえば、家具でもその様な体験をすることがあります。

先日から新たに担当することになった家具店さんのネットショップでは、通常のラインナップの中にデザイナーズ家具も含まれる予定なのですが、その中にデザイナーズ家具の代表格のひとつ、「バルセロナ・チェア」がありました。

バルセロナ・チェア

近代建築の巨匠と呼ばれる人達の中でも、特にフランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジェと並んでほとんど神格化されている存在に、ミース・ファン・デル・ローエ(ドイツ、アーヘン出身の建築家)という人がいますが、バルセロナ・チェアは、ミースが、かの有名な「バルセロナ・パビリオン」を設計した際に、パビリオンに置く椅子としてデザインした椅子です。

数年前のある日、福岡の大手門の辺りを歩いていた時だったと記憶しますが、小さな家具ショップのフロアに白いバルセロナ・チェアが置かれているのが、ガラス越しに見えました。
それが実物を見た最初だったと思うのですが、その時、想像していたよりもあまりに大きかったので、「えぇ~?まさか。」と思いました。

私は義理の兄がドイツ人であることもあり、ドイツ人と日本人のスケール感覚がかなり違うことは前から知っていました。
しかし、それにしてもデカい・・・
日本人なら、きっとこの大きさでこの形は作らないと思います。

その後、実物に座る機会があったのですが、その時も、「デカっ!」と思いました。座り心地は結構良かったんですけど。

バルセロナ・チェアはパビリオンのモジュールを考慮してデザインされているはずなので、特別なのかもしれませんが、家具の場合、大抵はスケールアウトというよりは、デザインされた国それぞれのスケール感覚の違いや人体の平均サイズの違いが反映しているだけだと考えてもいいかもしれません。一方建物の場合はそれ以外にも色んな事情がありそうです。

スケールアウトな建物は、そのことで批判されることも多いみたいですが、スケールアウトだからこそかえって魅力的な場合もあると思います。私は福岡の天神にある福銀本店ビル(黒川紀章設計)がその最たるものだと思っています。

阪急うめだ本店の新しい建物については実物を見ていないので何とも言えませんが、今後どの様に評されるのでしょうか。
少し気になりました。