写真は「ゴールドスミス・チェアー」という、ちょっと特殊なウィンザーチェアーの模型です(スケール=1/5)。
ゴールドスミス・チェアーは、英国ロンドンのV&A美術館に所蔵されている、18世紀の古い椅子なのですが、とても洗練された、現代的な形をしています。
前回にも書きましたが、私の父は家具の研究者をやっていまして、ウィンザーチェアーの研究をひとつの大きな研究課題としています。
父はこの椅子の造形の特性に着目し、V&A美術館で許可を得て採寸し、復元制作を行ったのですが、その際に私は模型制作や原寸大の「座面刳り」等の手伝いをしました。
6、7年前のことです。
完璧な模型を作るのは難しく、何度も作り直し、計8脚ぐらい作りました。(我ながらご苦労なことです…)
作った後で、模型と原寸大とではやはり随分違うなあという感じがしましたが、その物の形が明確にわかったという点では意義があったのではないかと思います。
世の中には、デザインされた様々な造形物が溢れていますが、ちゃんとデザインされたものは長く使われ、資源の節約にも繋がっています。逆に粗悪なデザインは、すぐに捨てられ、資源の無駄使いに繋がっています。
この椅子のように何代にも渡って使用され、やがて美術館に所蔵され、経年の後に復刻されるようなデザインは、まさに究極の理想かもしれません。