大川デザインミュージアムに行ってきました。

家具の街・大川を訪れると、幡保の交差点の角に一際カラフルで大きなビルが建っているのをかなり遠くの地点からでも発見することができます。
このビルが有名な(株)関家具さんの「ペガサスビル」です。

おととい、ペガサスビルの10階(最上階)にオープンしたばかりの「大川デザインミュージアム」に行ってきました。

エレベーターで10階まで昇り、フロアに出ると、まず正面には家具職人の手道具が展示してありました。
(ミュージアム内の写真は関家具さんに掲載許可を頂いています。)

手道具

現在の家具の製造ではほとんど使われなくなった様なものも含め、様々な手道具が沢山並んでいます。
これらは関社長のお父様が実際に使っていた道具なのだそうです。

中にはどうやって使うのか一見しただけではわからないような道具もありますが、それぞれに説明書きが添えてあるので、なんとなく、家具のどの部分をどうやって加工したのかを想像することができます。

現在機械で加工している部分も、昔は全て手道具で加工していたので、作ろうとするものが複雑な形状になる程、手道具の形状も複雑になっていったのだと思います。
これらの種類豊かな道具からも、家具の名産地・大川の往時の隆盛を偲ぶことができます。

さて、手道具のショーケースの後ろを見ると、そこに突然、「レッド&ブルー・チェア」が。

レッド&ブルー・チェア

この、今見ても奇抜な感じのする椅子は、オランダの建築家、ヘリット・リートフェルトがデザインした歴史的な椅子ですが、人肌に接する家具を完全に直線と平面で作ってしまっていることと、原色でベッタリ塗装してしまっていることに観念の過激さを感じずにいられません。
とはいえ、以前私はこの椅子を参考に直線と平面だけの椅子をデザインしてみたことがあります。
その時は観念的なことよりも、レゴブロックとかと同じで、直線と平面とモジュールでものを構成することの面白さに熱中したのを思い出します。

それはともかく、レッド&ブルー・チェアの傍からフロアを見渡すと、正面にはこれまた有名なチャールズ・イームズのラウンジチェアが。

ラウンジチェア

大川の歴史と名作家具。その両方を同時に鑑賞できるのが嬉しいですね。

箪笥

左からフロアを順に回って行くと、最初に明治・大正時代の大川の箪笥が展示されています。壁にはズラ~~っと長い歴史年表も。

茶棚2号

角に展示されている関家具さんの創業時のヒット商品「茶棚2号」は必見です。その丁度上辺りの年表には創業時の関社長とご家族の写真が載っていました。

Yチェア

ハンス・ウェグナーのYチェア。

厨子

松岡漆工(株)さんの厨子。

からくり箪笥

現代のからくり箪笥。

年表が切れた所から、木工の「組み手」「継ぎ手」の展示コーナーに。

組み手・継ぎ手

かつての木工では今では考えられないような精巧で多様な組み手・継ぎ手が使用されていました。
展示品は工芸家・岳野博昭さんが提供されたものだそうです。

大阪城大手門の継ぎ手

この大阪城の大手門に使われていたとされる継ぎ手は、外見からはどうやって継いでいるのかわからなかったので、X線を使って解明したのだそうです。
・・・驚きです。

組み手・継ぎ手のコーナーを過ぎると、世界中の銘木が壁にたくさん展示されていました。
フロアにはル・コルビュジェ+ピエール・ジャンヌレ+シャルロット・ペリアンデザインのシェーズ・ロングとミース・ファン・デル・ローエデザインのバルセロナ・チェア+オットマン、それにアイリーン・グレイデザインのサイドテーブルという、豪華3点が並んでいました。

シェーズ・ロング、バルセロナ・チェア+オットマン、サイドテーブル

バルセロナ・チェア、やっぱりデカイです。

家具のミニチュア

展示場の中心にはヴィトラ社による家具のミニチュアが、これまた沢山展示されており、これらも短い時間ではとても鑑賞しつくせません。
時間があるならば、じっくりとお気に入りの名作家具を探してみるのも楽しいと思います。

以上、大川デザインミュージアムでは普段なかなか見ることのできない大川家具にまつわる貴重な展示品と名作家具を見ることができました。
家具の街・大川に行かれる方にぜひおすすめのNEWスポットです。

2011.02.02追記
松本意匠さんのブログ「大川木工産業の歴史」で大川デザインミュージアムのことが詳しく書かれていました。

http://isyouoak.blog84.fc2.com/blog-entry-10.html
大川デザインミュージアムWebsite http://www.sekikagu.co.jp/odm/